スポーツスター 歴史・年式による違い
スポーツスターは1957年にK-MODELの後継者として登場して以来現在に至るまで変更が加えられながら生産が続けられている車両です。 スポーツスターはビッグツインモデルより軽量なだけでなく文字通りスポーティな走りを楽しめるハーレーダビッドソンとして性能や機動性を重視する人達に愛されてきた車両です。 日本国内においてもかつてはスポーツスターをベースとしたスポーツスターカップ(ロードレース)が行われており、弊社も参加させていただきました。
ビッグツインとは異なる4CAMやライトサイドドライブトレイン(駆動ベルトが車体に跨って右側に取り付けられている)が特徴です。 以下簡単ではございますが年式ごとの違いを記載させていただきます。車両選びの参考にしていただければ幸いです。
1952年 | Kモデル販売開始 |
---|---|
1957年 | OHVエンジンを搭載したXLモデル登場 |
1959年 | 高圧縮比モデルXLCH販売開始 |
1966年 | キャブレターがLinkertからTillotsonに変更 |
1967年 | XLHモデル、エレクトリックスターターを装着 |
1970年 | 全XLモデル、エレクトリックスターターを装着 |
1971年 | ディストリビューターがギアケース内へ移動 |
1971年 | 湿式クラッチの導入 |
1972年 | 1,000ccモデル登場 |
1972年 | キャブレターがTillotosonからBendixへ |
1973年 | フレーム形状の変更 |
1973年 | フロントディスクブレーキの導入 |
1973年 | フロントフォーク径が35mmに |
1975年 | 右ブレーキ、左シフトへ変更 |
1976年 | アメリカ生誕200周年記念モデル登場 |
1977年 | カフェレーサーXLCR登場 |
1977年 | ツーリング仕様のXLT登場 |
1979年 | フレーム、スイングアームの強化 |
1986年 | エボリューションエンジン登場 |
1988年 | 1,100ccモデルが1,200ccへ |
1991年 | トランスミッションが4速から5速に |
1998年 | ツインプラグモデルXL1200S登場 |
2000年 | ブレーキキャリパーがシングルから4ポットへ変更 |
2004年 | エンジンのラバーマウント化 |
2007年 | フューエルインジェクションの採用 |
現在では「小型のクルーザー」として扱われている感も否めないスポーツスターですが販売開始当初はスポーツ出来るハーレーとして注目を集めました。 早くも1958年には高圧縮モデルXLH、XLCHモデルがラインナップされ人気は加熱しました。ヒルクライムやダートトラックなどのレースで使用されたイメージの強いスポーツスターですが 1970年にはWarner Riley、George Smithの製作した車両が時速420kmを越える速度も記録しております。
1977年にはXL Cafe Racer (XLCR)がデビューします。またこの時期3.5ガロンのガソリンタンクを装備しツーリングユースを意識したXLTも販売されております。
1986年にはシリンダー、ヘッド共にアルミ化されたエボリューションエンジンへと大きな進化を遂げ排気量883ccと1100ccの2種類の車両が存在しておりました。 1988年には1100ccは1200ccとなりそれ以降スポーツスターは883ccと1200ccの2種類となり現在に至ります。
1991年、4速だったスポーツスターが5速化されました。1998年にはツインスパーク(2気筒4プラグ)そして前後のアジャスタブルサス、フロントダブルディスク等を採用したXL1200Sが登場します。
2000年にはフロントのブレーキキャリパーがシングルから4ポットに変更されました。
2004年大きな変化が訪れます。 これまでフレームに直接積み込まれていたエンジンがラバーマウント化されました。 ラバーマウントとはスイングアームとエンジン、ミッションを一つのユニットとして捉え、このユニットをフレームにゴムを介して取り付けるもので高速道路走行時に手がしびれる等の問題が無くなりました。 現行モデルがアイドリング時に大きく揺れているのはこのラバーマウントによるものです。ラバーマウントに変更されたため現行のスポーツスターはマフラーステーをフレームから取ることが出来ません。 ミッションケースから取ることになりmます。
2007年、キャブレターからフューエルインジェクション (EFI) へ変更されました。 この恩恵を特に受けたのは883ccモデルで燃費を犠牲にせず、パワフルな車両へと変化しました。 その後XL883Nアイアン、XL1200Xフォーティエイトといった人気車両が生まれることになります。
スポーツスターにまつわるトラブル
寺田モータース、ハーレーダビッドソンプラザ伊丹では年間約2,500台のハーレーを整備しております。
20万kmを遥かに超えて乗られておられるお客様も数人存在致します。そんな我々が感じるスポーツスターにまつわるトラブルをご紹介します。
これを読み進めますとハーレーはトラブルが多いのか?と心配される方がおられるかも知れません。
しかし過度に心配されることは無用です。
トラブル、故障は使用方法を誤った場合、日常の整備、点検を怠った場合に発生するものが大半です。
ですので安全に楽しんで頂くためにもまずは予備知識を蓄えて下さい。
ここで取り上げさせていただいた事例は代表的な物であり台数を整備させていただくと時には珍しい事例にも遭遇しますがそちらはまた別の機会にお話しさせていただきましょう。
クラッチのスプリングプレート
①2004年以降のスポーツスターでクラッチの構成部品の中にスプリングプレートがあります。
一概に言えませんが弊社では早い車両で25,000kmから30,000km位走行した時点で半クラッチを必要以上に使用しているとプレートが減りリベットが損傷してしまいます。
破損したリベットはクラッチハブにまで移動し、周囲の部品を破壊してしまいます。
対処方法としまして最も重要なことは運転方法を改めることです。右折や左折時、コーナリング時にクラッチを不必要なほど多用してはいませんか。
このような運転を続けられますと上記の症状が現れることが多いです。逆に運転に慣れた方の車両では走行距離が10万kmを超えていてもクラッチに損傷が見られないものもございます。
20,000km程度を目途にクラッチを点検し、スプリングプレートが減っている場合は交換していただくことで最悪の状態は回避出来ます。